SEEKING THE POSSIBILITY OF SMALL SCALE HOUSING

小規模住宅の可能性を求めて(M2 和田聡一)

本研究は、戸建住宅において、建主の状況や敷地条件によってしばしば表われる小規模という特徴に対して、積極的な意義を持った建築のあり方を探求するものである。住宅設計において、ある程度の広さを確保することは快適な住空間を生み出すことに繋がるという考えが浸透しているが、近年では敷地の細分化や建築費の高騰などといった社会的要因から、小規模住宅が建設されており、新たな小規模住宅のあり方やその住まい方が注目され、その建築空間の可能性が模索され続けている。しかしながら、その設計意図の網羅的な分析を含む研究は、未だ見られない。したがって本研究では、現代の建築家たちによる小規模住宅における積極的意図のあり方を明らかにすると共に、小規模住宅の設計提案を行い、小規模住宅における多様な価値を提示する。本研究は、第1部の理論的研究と第2部の実践的研究のふたつの側面から小規模住宅の可能性を探求する。第1部ではまず、現代建築家の小規模住宅における設計趣旨からその積極的意図を抽出・分類した。大きなまとまりとして、【内部空間への意識】【外部空間への意識】【不可視のものへの意識】、その次のまとまりとして、〈広がりの追求〉〈生活への期待〉〈距離の近さの魅力〉など、いくつかの意図に分類することができ、小規模であることの価値について確認した。次に、その具現化方法を網羅的に抽出・分類した。〖街と敷地〗〖敷地とヴォリューム〗〖庭とヴォリューム〗などの15 種類の「操作した要素」それぞれにおいて、計71の「操作の種類」を抽出し、さまざまなスケールや要素における有効な操作についての知見を得た。さらに、小規模への意図と具現化の操作方法との対応関係を、小規模への意図の代表的なカテゴリーにおいて縦断的に分析した。カテゴリーを細分化していきながら見ていくことで、それらの相互的な繋がりを確認し、小規模住宅における建築的操作とその効果の関係を確認した。第2部では、第1部で得られた知見をもとに2つの小規模住宅の設計を、それぞれの敷地に合わせて行った。第1部で抽出した操作と1つの住宅の試作によって得た知見を用いながら、それらを読み換え、組み合わせることで、小規模であることに積極的な価値をもつ住宅の設計を提案した。