TABLES AND CHAIRS OF MAWATA SANSHI-KAN

真綿・蚕糸館1階交流スペースのテーブルと椅子

本作品は、信州大学繊維学部真綿・蚕糸館の1階交流スペースのためにデザインしたテーブルと椅子である。真綿・蚕糸館は、一般財団法人日本真綿協会から信州大学繊維学部に寄贈されたもので、真綿および蚕糸に関する文化の次世代へ継承を目的とし、教員や学生にとどまらず、地域にも開かれた施設として2021年6月に完成した。同建築の空間を特徴付けているのは、建物中央部に位置する全長9Mを超える6本の棟持柱であり、真綿や蚕糸に関わる営みが日本文化の中で太古に遡り、また地球規模で展開していたことを踏まえ、棟持柱構造を建築の祖形と位置付ける土本俊和教授により構想された。1階交流スペースは、その棟持柱を含む主要な空間を見渡すことのできる、同建築の象徴的な場所であることから、この柱との関連の中でデザインを検討した。具体的には、前述の棟持柱が下端で正方形、上端で八角形の断面形状を持つよう面取りが施された形状となっていることから、このような角を斜めに切り落とすという操作を用いて、抽象性の高い幾何形態をベースにしながら、人間の身体およびその動作が持つ具体性に応える形状とした。通常は、テーブル1脚、椅子4脚のセットで、空間に自由に配置して使用されるが、それぞれの上から見た平行投影形状が正方形であるため、一箇所に並べて配置した際には整然とした群としての風景を形成する。以上のようなデザインにより、本作品が、真綿・蚕糸館独自の空間的特徴の形成に参画し、利用者の休息やコミュニケーション等の営みを支えると共に、この建築の構想をも伝え得るようなオブジェクトとして存在させることを意図した。

<作品概要>
デザイン:羽藤広輔、土本俊和(以上、信州大学)
デザイン協力:株式会社アーキディアック
製作:株式会社スペースウェアハウス
椅子寸法:W450×D450×H630mm
テーブル寸法:W800×D800×H720mm
素材:タモ集成材、ウレタンクリア塗装

<発表概要>
羽藤広輔:真綿・蚕糸館1階交流スペースのテーブルと椅子,第66回意匠学会大会,上田市交流文化芸術センター(サントミューゼ),2024.8.23

<掲載情報>
羽藤広輔:真綿・蚕糸館1階交流スペースのテーブルと椅子,デザイン理論,第85号,意匠学会,pp.98-99,2025.1