アトリエのときへ:文化を育んだアトリエ付き住居群(B4 鈴木皓大)
東京都豊島区長崎地域にはかつて「アトリエ村」と呼ばれる程に、アトリエ付き住宅が無数に立ち並んでいた。それは現在の豊島区の芸術文化を育んだ「池袋モンパルナス」という文化圏の一角であり、数多くの芸術家が互いの芸術をぶつけ合い研鑽を積んでいた。芸術家は街のカフェや資材屋、銭湯など街のリソースを活用し、地域と関わり合いながら生活をしていた。しかしながら、戦時中の弾圧や急速な宅地化によって当時の姿は殆どが失われ、歴史的重層性は薄くなっている。 そこで本計画では芸術文化を育んだ地域性を地域と関わり合いながら行われる芸術活動として位置付け、アトリエという秘匿性のある空間を保ちながらも、地域との距離によってさまざまな関係性を持ったアトリエ付き住宅群の設計を提案する。かつて芸術活動が行 われていた「アトリエ村」に住んでいたとされる小熊秀雄を中心とした芸術家たちの作品を手がかりに場所の記憶を扱いながら住人同 士の関わりや地域住民との関わりの空間を段階的に創出していく。 芸術家の作品から読み取れた芸術家が集まっていることを思わせる同じ形の建物の連続や生活の窺える窓、人と人とが出会うシーンが見られる階段、交流が行われたカフェやアトリエといった要素から構想した空間を配置していくことで人々のさまざまな関わりを生み出していく。このようにアトリエという空間の性質を保ちながらも、住居とのさまざまな距離に応じた関係性を組み立てることで芸術家は芸術家同士や地域住民と関わりながらも自身の空間で制作を行え、同時に地域住民は芸術文化に対して親しみを持ちやすくなると考える。このようにして現代に失われた芸術家と地域住民との文化による関わり方の再現を試みる。(JIA第34回長野県学生卒業設計コンクール大学の部 奨励賞)






