(コミュニティ)・センター:共同性を相対化する庭としての建築(B4 森田優希)
本研究では、情報社会や共同体において生じる人間同士の相互承認によって駆動する共同性を、建築空間を通して相対化することを目的とする。 今日の情報社会を生きる私たちにとって、SNSの仕様の変化は、自分の住む地域の問題よりも、はるかに自分事として感じられる。これは、タイムラインという公的な場に「投稿」することがあまりに簡単に世界への関与を実感させてしまうことによる。タイムラインの潮目を読むような相互承認のコミュニケーションは社会の多様性を縮減してしまうのではないだろうか。 『庭の話』(講談社、2024年)において宇野常寛は、こういった共同性を相対化する術として、「庭」という場に注目する。こうした議論を参考に、本研究では、庭を、人間の行為や建築の物理的ふるまいが環境へ漏れ出し、その痕跡が蓄積されることで、人間と事物の関係が立ち上がる場として捉えた。そのような庭的な場に触れることで、私たちは共同体の一員という単一の帰属に加え、生態系の一部としての帰属を意識する。すなわち、共同性の相対化は、帰属先の複数化によって可能となると考える。 ここでは、情報社会のプラットフォームにおいて簡単に得られてしまう世界への手触りに対して無力であるとされてきた公共施設を、建築の構成によって共同性の相対化の場として再構築することを考える。 敷地は東京都渋谷区幡ヶ谷に位置する都営住宅跡地である。甲州街道から水道道路へ北上するように伸びる六号通商店街に面し、北側に地域コミュニティの活動拠点となっている渋谷区立幡ヶ谷社会教育館が建っている。現在渋谷区による社会教育館の建替えと都営住宅の新設が敷地において計画されており、本計画はそれに対するオルタナティブとして提案する。 ある用途および建築空間の構成を、他の要素(庭、他用途、隣接建物)の部分として計画することで、活動のスケールや利用者によってその場所の意味が変化するような多元的な環境を生み出す。つまり共同体のための場が、庭や他用途からの物質的影響を受け取るように計画することで、利用者は建築を介して存在する多元的な環境の一員であることに気づくことのできる状況を設計する。





