衣服的アタッチメンツ:主体的振舞いを表出する商品住宅(B4 篠﨑泰成)
住宅での生活において、人は、建具や設備等、何かを操作するとき、それを扱う主体として現実の空間へ意識を向けている状態と捉えられる。対してスマートフォンを触るとき、意識は情報社会へと向き、人は現実空間にはほとんど無関心であると言える。現代ではその他の多くの行為がスマートフォンへと帰結してしまうことで、人の行為自体が均質化し、家に住む主体としての空間への意識は弱くなってしまっていると捉えられる。また、これを原因として、他者の空間利用や行為、外部への意識も薄れつつあると感じられる。本計画では、建具等による操作性を持った衣服的外皮をアタッチメントとして選択できる商品住宅を提案し、住宅において失われかけた住み手の主体性のある振舞いを回復することを目的とする。この住宅の外皮は衣服の様に、操作主である住み手の行為に応じて、輪郭を変化させたり、色を漏れ出させたりする。操作性のある外皮と暮らすことにより、行為を無意識的にスマートフォンへと終始させるのではなく、行為の起点にアタッチメントの操作という空間へ主体的な関与を組み込む。また、規格化された住宅像として提示される商品住宅は、敷地の背景などをあまり考慮せず匿名的に建ち現れ、どこかに同じ形が存在し、似通った外装がみられるという前提によって均質性を感じさせる。今回の提案では、商品住宅的な均質性や匿名性を拠り所として、動きのある部分的なアタッチメントが差分的に住み手それぞれの暮らしの断片を表出する。敷地は匿名的に示し、CASE1として地方分譲住宅地、CASE2として農村住宅地の2か所に設定する。設計には敷地のコンテクストを反映せず、土地ごと、家族のカタチごとに変化するアタッチメントの組み合わせと振舞いの風景への立ち現れ方のバリエーションを提案する。分譲住宅地においては、3棟続いた区画に提案し、3家族の求める生活像と、それに応じた異なるアタッチメントの配置による、それぞれの家族に固有な見え方を提示する。また、農村住宅地においては、住宅の密度が低く、周囲が畑に囲まれていることから、外に向かって大きく概形を揺らがせる開放的な住み方を提示する。(赤れんが卒業設計展2026 100選)






