逆叉-sakamata-
(西陣「路地の家具」デザインコンペティション2019 優秀賞/M1上田春彦)
私は、西陣の路地の家具に、二つの機能を備えた。一つ目は、路地にネットワークをもたらすこと、二つ目は、路地に場を創出することである。 現地調査で感じたことの一つ目は、西陣には、魅力的な路地や店舗があるが、それらは点在し、独立して存在しているという点だ。そこで、家具に道標のような役割を与えることで、離れた路地や店舗をつないでいき、魅力的なネットワークを形成することを目指す。現地に訪れた時、住民同士の豊かな繋がりを垣間見ることできた。道標はそれらを視覚化し、さらに新たな情報を加え、住民や観光客に対して適度な分かりやすさを与える。そして、人々が路地を巡っていくことによって、繋いだ点だけではなく、その周辺の路地にも影響を与えることができうるだろう。 現地で感じたことの二つ目としては、路地ごとに様々な性格があり、その場所ごとの活動が望まれるということだ。そこで、家具に明確な用途を与えず、路地ごとに場をつくるきっかけとなるような家具をデザインした。例えばそれは、住宅街では、他人の侵入を防ぎ、子供の遊び場を形成し、商店街では、人々が休憩したり、順番を待ったりすることができる場を形成する。これらが、西陣の路地を住みこなす住人によって主体的に使われることで、路地が一層魅力的になることを望んでいる。