ODOI-SCAPE

 

おどいスケープ
御土居の断片的復元とランドスケープの形成(B4 窪田壮浩)

戦国時代、天下統一を成し遂げた豊臣秀吉が京都の都市改造を行い、その一環として御土居と呼ばれる土を盛った土塁が築かれた。御土居は外敵の襲撃から守る防壁や川の氾濫を防ぐ堤防などとして約23キロメートルにも渡って京都の街を一周するように造られ、京都の街の形成において大きな役割を果たした。しかしながら、時代とともに、御土居はその機能を失って徐々に切り崩され、現在では史跡に登録された御土居跡が、北西部を中心にわずかに遺るのみとなっており、市民からも認知されなくなってきている。そこで本計画では、かつての御土居を建築として復元し、土地の記憶と現代の都市が交錯する、新たなランドスケープのあり方を提案する。復元にあたっては、敷地を、かつて御土居が存在した場所の中で断片的に複数個選定し、御土居の全体像を想起させるような構成とした。それぞれの敷地における計画では、御土居の大きさや形状、位置などはかつてのものを想定し、それを現在の敷地や建物、道路や鉄道といった様々な境界線で切り取っていくことで建築のヴォリュームを決定していった。用途や機能は、様々な場面で歴史に触れることができるよう、敷地ごとに資料館やホール、駐輪場など異なるものを設定し、切り取られたヴォリュームの特徴的な断面の見せ方や、既存施設とのより良い関わり方を重視して設計した。来訪者が歴史と今を重ね合わせてできる空間を体験し、土地の記憶を実際に体感することで、人々の暮らしが土地と密接に関わり合った、より豊かなものになることを期待している。

窪田1

窪田2

窪田3

窪田4

窪田5