公園3.0時代へ
均質に造られた街区公園の未来のはなし(B4 高橋真由)
街区公園とは、街区に居住する者の利用を目的とする公園で、誘致距離250m の範囲内で1箇所当たり面積0.25ha を標準として配置されている。これまで、公園の設置基準は国の主導によって作られ、量や質の整備を急ぐばかりに特色を持たない公園が各地にできた。この状況を打破しようと近年法改正が行われ、ソフト面の整備は進みつつあるが、ハード面での改善事例は少ない。また、10 万箇所を超える公園のうち8 割が街区公園であり、量と質の整備によってストックされてきた、どこの街にもあるこの公共資産「街区公園」こそ、まちの使われ方を改善する緒になるのではないかと考えた。よって本計画では均質に造られた街区公園に対し、それぞれの状況に応じて多様に性格を与える家具の提案を行う。まず、新潟県旧長岡市内187箇所の街区公園の実地調査を行った。この調査では、公園内部の要素から大きくグループ分けを行い、9つの類型を得た。これらの要素に基づいて計画を行うことにより多様な状況で適応できる家具を目指した。また、周辺街区の調査における、路地空間との比較から、公園にはない要素として「生活の表出」を見出し、これを家具の「面」のデザインに反映させた。さらに、これまで子供たちの利用を主として考えられていた街区公園は、大人の積極的な利用を想定せず設計されていることから、本計画では、そのスケール感の違いが有効に作用するよう設計を行った。このように、人と人の間に介在し、街区の特色が表れ、それが公園の性格となるような家具を実現することによって、公園の使われ方を見直すきっかけを提示したいと考えた。(JIA 第29回 長野県学生卒業設計コンクール 大学の部 奨励賞受賞)