白井晟一の著作にみる習書の意味について,白井の伝統論との関連から考察した。白井は建築家でありながら,晩年,習書の活動に多くの時間を割いた。習書と伝統論の特徴を照合すると,近似した目的意識によって成立していることが指摘でき,「用」の重視において共通する他,伝統論における,対象の潜在力を普遍的に捉えようとする態度が,習書においては,形や意識を越えたもの創造しようとする「行」として実践されたことが読み取れた。
羽藤広輔:建築家・白井晟一の著作にみる習書の意味 伝統論との関連に着目して,日本建築学会計画系論文集,第81巻,第719号,pp.179-186,2016.1
https://www.jstage.jst.go.jp/article/aija/81/719/81_179/_pdf