the relation between discourses on architectural works and the theory of tradition in the activities of seiichi shirai

白井晟一の建築作品をめぐる言説と伝統論の関連を考察した。作品説明文と伝統論を照合してみると,「原爆堂計画」は白井伝統論の確立期の言説が端的に意図された例であることが,また展開期を経た1970年以降の石の作品の説明文には,「ユーラシア的」なものへの志向に至った白井伝統論そのものが読み取れた。伝統論の展開への着目は,断絶して併存する白井像に対し,相関関係を提示し得る有効な視点として指摘することができる。

羽藤広輔:白井晟一の活動における建築作品をめぐる言説と伝統論の関連について 作品説明文に着目して,日本建築学会計画系論文集,第81巻,第730号,pp.2841-2847,2016.12