地産地消の重なり (「建築設計製図第Ⅴ」提出作品 / B4 松本健太郎)
敷地である長野県信濃町は豊かな自然に囲まれ、農産業資源にも恵まれている。しかし、現在第1次産業は衰退しており、農業従事者の高齢化および後継者不足が課題となっている。そこで1次産業(生産)、2次産業(加工)、3次産業(販売)を併存させ、小さな町の少量生産と少量消費をつなぐ地産地消を目的とした複合施設を提案する。生産の場と消費の場の距離を近づけるために、建築とランドスケープをヒエラルキーのない形で計画する。各プログラムは必要な幅を持つ帯状のボリュームで配置するものとし、それぞれを敷地に対してバランスよく配置するのではなく、もともと別であるものの独立性を保ちながら一様に層をなすように配置している。また、作物を栽培される高さによって分類し、作物の高さと各プログラムにおける人々の活動が同じラインに揃って見えるよう断面を計画している。さらに、各層を横断するように動線(市場)を計画することにより、販売される作物とその生産の様子を同一のパースペクティブに捉えながら、それぞれの生産の風景を連続的に見渡す空間体験を実現し、生産と消費をつなぐ地産地消の風景を生み出している。