工自混同
−紙のまちにおける工場と自然をつなぐ水引建築−(卒業設計/B4 酒井禄也)
愛媛県四国中央市川之江町は、日本有数の紙のまちとして知られているが近年のペーパーレス化の進行により市場規模の維持が難しくなっている。また、地方の工業地帯では職住分離が図られ、埋立地による産業の効率化が進められた結果、生活空間と工業地帯は断絶されてしまった。よって本計画では臨海部における水引工場と隣接広場を対象に、生活空間と工業地帯をつなぐ建築を提案する。全体の計画としては、敷地内に存在する水引工場と公園内の「見晴らしの丘」から生成したそれぞれの役割や用途を持つ2つのチューブを編み込むことによって、空間を構成している。その際、人と人を結ぶという意味を持つ「あわじ結び」を参照しており、断面や立面の構成を特徴付けている。敷地内に展開する緩やかに傾斜したスラブは遊歩道となり、多様な半屋外空間を創出して、人々の居場所となる。地域に根付く「紙」の文化や産業が住民にとって身近に感じられる場所のあり方を提示したいと考えた。