若者の将来を築く建築
学生と社会人が同居する複合型集合住宅の住まい方(B4 ダワーゾリグ・ノムーン)
日本では、春になると進学や就職の為、故郷を離れ、結婚するまで一人暮らしを経験するという若者のライフスタイルがある。しかしながら、最近では大学生や新入社員などの若者は、地域とのつながりや人間関係構築の経験が浅く、孤独死は高齢者だけの問題ではなくなってきている。若者の一人暮らしにはプライバシーも重要であるが、孤独感を避けるため周囲の人々とコミュニティを築くことのできる住環境やライフスタイルが必要とされている。一方、長野市では主に製造業が盛んであり、技術者を育成する教育機関も存在し、地域には学生や働き始めた社会人が多く居住している。よって本計画では、一人暮らしという共通点に着目し、寮と独身アパートの暮らしを結び、地域に開いた、多様な活動ができるコミュニティースペースを含んだ集合住宅とその住まい方を提案する。長野駅周辺地域では、多機能で魅力ある、潤いと利便性が共存するまちづくりが進められている。多目的広場、宅地、防災倉庫などが整備されているこの敷地には、住宅以外に空き地や駐車場が多く存在しており、この空間を活用しながら、若者の為の作業空間や地域に開くパブリックな空間など多様な機能を持つ建築を計画した。設計においては、駅からの大通り沿いの位置に地域に開いたベーカリーを配置し、それと接する学生寮とトレー二ングジムを運動公園に面して配置した。独身アパートは、2階からの動線を計画し、住宅地側に配置することでパブリックからプライベート、賑やかな空間から静かな空間へとバランスの良い空間構成になるよう計画した。(JIA 第29回 長野県学生卒業設計コンクール 大学の部 奨励賞受賞)