REORGANIZATION OF APARTMENT HOUSE BY UNRAVELING THE “COMMON”

「共有」から紐解く集合住宅の再編(B4 岩崎維斗)

集合住宅における集まって住むことの本質的な意味とは 「共有」することである。現在の集合住宅においてよく見られる、住戸を並べて積層させるような建築は空間を効率よく組み立てるという点で合理的である。しかしながら、住民同士の関係性や空間の外部に対しては無関心であり、「共有」という集まって住むことの本質的な意味が失われつつある。そこで、建物に詰め込まれ内向的な「住戸」を住民の活動が表出する外向的な「住宅」として捉え直し、「共有」することについて多角的視点から紐解くことで集合住宅の在り方を再編する。具体的には、「自然環境の共有」「空間の共有」「情報の共有」「知識の共有」「あらわれの共有」の5つの視点から集合住宅の再編を行なっていく。自然環境の共有では、水・光・風の循環を考える。空間の共有では、内部空間と外部空間の間に存在する中間領域に着目し、共有の空間への発展を考える。情報の共有では、集合住宅内に隣組制度と回覧板制度を取り入れた新しいシステムの構築を考える。知識の共有では、長野県も推進する暮らしの中に農業を取り入れた「農ある暮らし」を考える。あらわれの共有では、各住宅から表出する「もの」や「思い」をあらわれと捉え、3次元的近隣関係による各住宅からのあらわれの伝播を考える。このように、「共有」が敷地全体、住宅間、住民間など、多様なスケールで発生することにより、集まって住むことの本質的な意味を見つめ直すような集合住宅を目指した。(JIA 第32回 長野県学生卒業設計コンクール 大学の部 市民賞/NAGOYA Archi Fes 2023 田中義彰賞/せんだいデザインリーグ2023卒業設計日本一決定戦100選)